ZAURIがくれた「宝物」

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ZAULIに初めて会ったのは

1978年のこと。


イタリアのFaenzaで開かれていた

彼の展覧会の会場だった。

イタリア陶芸の巨匠として

名を馳せていた本人に会えた事で

すっかり緊張していた僕に、

彼は気さくに話しかけてくれた。



その時Faenzaの陶芸学校の

校長をしていた彼に

僕はおずおずと自分の作品の

ドキュメントを見せた。

すると彼は優しい微笑みを浮かべ、

こう語った。

「いい作品だね。

どうだい?

うちの学校に入学してみないかね?」


まさかZAULIに入学を勧められるとは。

驚きのあまり思わず頭が真っ白になったが

声を上ずらせながら

「はい。ぜひ」と答えたのを覚えている。



僕が実際にFaenza陶芸学校に

入学できたのはそれから3年後。

すでにZAULIは校長を辞していたが、

彼のアトリエには何度も足を運んだ。


そして彼からいろんな話を聞き、

実際に製作中の作品も見ることができた。

あの時期がなかったら、

今僕はこうして陶芸を

続けていなかったかもしれない。

それほど濃密な時間を過ごせた

貴重なひとときだった。



それから2年半後、

イタリア留学を終えた僕は

帰国する前に彼のアトリエを訪れた。



お世話になったお礼と

別れの挨拶を述べると、

彼は微笑を浮かべ、

「これをプレゼントするよ」

と小さな作品を手渡してくれた。

それがこの写真にあるオブジェだ。



ZAULIから

直接指導を受けたことはないが、

彼のアトリエでのひとときや

彼の作品から僕は多くのことを学んだ。

このプレゼントは

その全てが詰まっている

大切な宝物となった。



ZAULIはもうすでにこの世にはいない。

でもこの宝物を見るたびに

アトリエで彼から学んだことを思い出し

「陶芸家としてどうあるべきか」

を考えさせられる。

ZAULIに出会った

駆け出しの若い頃の僕に戻って。